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無愛想なコンビニ店員の登場から、日本語文化の崩壊を感じる – 現代ビジネス

牛丼屋で見かけた英語

自宅から三分のところに私鉄の駅があり、その駅の前に牛丼の店がある。ひと月ほど前、その店のガラス・ドアのまんなかに、A4ほどの大きさの紙が貼ってあり、その紙には次のような三行が読めた。

NO ADDITIVE

無添加

Back to natural goodness

客には外国の人たちが増えているのだろう、と僕は思った。いまこの貼り紙はもうない。その代わりに、大きなポスターが貼ってある。メニューのすべてがそのポスターには写真入りで紹介され、もちろん品名と価格も表示されている。品名ごとに英語による簡単な説明も添えてある。「牛めし」はBeef On Riceだ。ご飯の上に載せてあるビーフがどのような状態なのかを知りたいと、外国からの客は願うのではないか。

Photo by iStock

さらに、次のような文章を僕はそのポスターのなかに見た。

Vending machine for food operated here in English, enjoy yourself.

食券自動販売機は英語で使えます、という意味ではないか。Vending machine for foodと言ってしまうと、出来上がった料理が出て来る自動販売機、というような意味になる。

最後に添えてあるenjoy yourselfのひと言は、日本語で言うなら、僕が考える一例としては、お楽しみください、とでもなるだろうか。先に書いたBack to natural goodnessは、自然の良さを取り戻そう、というような日本語になるはずだ。

日本語は充分にあるのだけれど、その日本語ではなんとなく言いにくい、しかし英語のひと言ならとっさに口をついて出てくる、したがってたいそう言いやすい、という領域が存在しているのではないか。

Open! というひと言が大きく印刷してある広告を、電車の中吊りで見た。「開店しました!」という意味だ。もちろん、「開け!」ではない。文字の場合も音声の場合も、開店よりはopenのほうが、気持ちを載せやすいのではないか。言いやすくもあるのだろう。「こちらは十時からオープンしてますので」というように。

オープンします。オープンしました。オープンです。オープンになりますので。もう完全に日本語だが、開店、という意味だけの言葉として使われている。開けたままの。広々とした。未決定の。というような意味は、そこにはない。広告ないしはそれに準じた文脈で表記する場合は、感嘆符をひとつ添えるのが定型となっている。




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