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新入学・進級シーズン到来…おおたとしまさ氏に聞く「親の心構え」 – ニフティニュース

 桜の蕾も膨らみ始め、新入学・進級の季節が近づいてきた。子どもはもちろん、親にとっても環境ががらりと変わる節目のとき。期待と共に不安や心配もあるだろう。そんなお父さん、お母さんたちの「心構え」について、「なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?」(祥伝社新書)、「習い事狂騒曲:正解のない時代の「習活」の心得」(ポプラ新書)などの著書がある、おおたとしまさ氏に聞いた。

◆感情を吐き出させてあげる場が必要

–小学校新入学の子どもたち、どんなところに気をつけてあげたらいいですか。

 子どもからしてみれば、ライフスタイルが変わり、受けたことのない刺激をたくさん受け、高い緊張感にさらされているはずです。そんなとき、親が一番気をつけてあげなければいけないのは、子どもが新しい環境に適応できるかどうかより、子どもが安心感をもてる状態を作ってあげること。自分の気持ちをまだうまく言語化できないときですが、「楽しかった」「悲しかった」「緊張した」という一言でもいいから、自分の感情を吐き出させてあげる場が必要です。

–親にとっても、手厚い保育のあった環境から、子どもの自立が求められる環境に変わり、戸惑うことも多いですよね。学校からのお知らせも子ども経由で一方通行になり、大切な情報がうまく伝わってこないので、想定外のことで慌てたり、イライラしてしまいがちです。

 「自分の気持ちに余裕がない」ってことを親自身が自覚することが大事ですね。自分に余裕がないときは、他者に対してどうしても攻撃的な気持ちになってしまいがちです。そのとばっちりが子どもに向かないようにしたい。親が頑張り過ぎてピリピリしていると、子どもにしてみれば自分がここにいちゃいけないかのような感情を抱いてしまいますから。

◆「小さな幸せ探し」のアンテナの感度を上げる

–親子のコミュニケーションでは、どんなことを大切にすればいいですか。

 たとえば毎日一緒にお風呂に入りながら、お互いに1日を振り返るといったことをルーティン化するのもいいですね。親自身も客観的になれるし、子どもも身の回りにある些細な幸せに気づけるようになってくる。これは小学校に入ったからというわけではなくて、幼い頃から「小さな幸せ探し」のアンテナの感度を上げておくのは、この時期だからこそ身に付けておきたい力のひとつかなと思います。

◆学校の宿題以外の勉強をする時間

–低学年からの学習習慣は、どうやって身に付ければ良いですか。

 1日5分でもいいから、「学校の宿題以外の勉強をする」ということを生活の中に組み込んでおくことを勧めます。成長に伴ってその5分を10分、30分と増やしていくことはできるけれど、ゼロのまま高学年になってしまうと、子どもはいろんな屁理屈を捏ねて拒むようになるので、低学年のうちに歯磨きのように習慣化してしまいましょう。それは公文のプリントを毎日5枚ずつやることでもいいし、勉強以外でピアノの練習でもいい。「なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?」(祥伝社新書)にも書いたように、毎日一定の努力を続けることで身に付く「学習習慣」と「自学自習」の姿勢は、将来子どもの無限の可能性を拓きます。

 ただし、そのときに親がやってしまいがちなのは「宿題を終わらせてから遊びに行きなさい」という声掛け。そうすると、勉強というのは遊ぶために仕方なくやる「苦役」であるという価値観が刷り込まれてしまいます。

 また、親が仕事から帰宅する前に、子どもとやるべきことを約束しておく家庭も多いと思いますが、やっていなかったら叱るだけ、というのはNG。やったことはきちんと褒めてあげることも忘れないでください。

–リズムを作ることが大切ということですね。ただ、現実は思いどおりにならず、苦労している方が多いように思うのですが。

 子どもを「操作」してやろうと思うからうまくいかない。少しずつ調整してみるのだけど、それでもうまくいかないのが子育てだと思います。今日のような企画も、どうやったらうまく「操作」できるんだろう? という正解に近づく方法を求められがちですが、そもそもそれが幻想なんです(笑)。

 正解がないのに、どこかに答えを探しているから苦しくなっているわけで。ただ、だからといって思考停止してはいけません。こうなってほしいという理想を実現するためにはどうすればいいのか、親が知恵を絞り続けることが大事なのではないかと。当然、親の判断が失敗に終わることも多いはず。でもその都度調整して、3歩進んで2歩下がりながらも前進することが人生そのものだと思うので、そんな親の姿を子どもに見せるっていうこともまた大事なのではないかなと思います。

◆“何もやることがない時間=無駄な時間”と考えない

–この時期に新しい習い事を始めるお子さんも多いと思います。最近では特に、英語とプログラミングは早くから習わせた方がいいのではないかと迷われている方も多いようです。習い事選びなどで、アドバイスをいただけますでしょうか。

 英語とプログラミングは、確かにこれからの時代を生きていくために必要なスキルではあると思います。ただ、これは大人になってからでも十分間に合うと思うんです。一方で、幼少期にしかできないことがあるはずです。確かに、習い事の数だけ色々なスキルは身に付くかもしれないけれど、予測し得ない未来を予測して、これもあれも詰め込んで、その重たいリュックをもたせて歩かせることが、本当に我が子の「生きる力」になるのでしょうか。

 習い事は否定しません。ただ、“何もやることがない時間=無駄な時間”と考えてはいけないと思います。何もやることがない、自由な時間をどうやって過ごすかを自分で決められる。それって、人生どうやって生きていくかということの縮図だと思うんですよ。放課後から夕食までの数時間をどう過ごすかという毎日の訓練の先にあると思うんです。自分がどんなことをしているときに幸せを感じるか。そんなことに自分で感づくことで、その人なりの生き方っていうのが身に付いていくのではないでしょうか。大勢で盛り上がってリーダーとして仕切るのが好きなのか、家で静かに本を読んでいることが好きなのか。放課後に習い事をあれこれ入れてしまうと、子どもが自分自身に気づける時間を奪ってしまう。それはその子にとって大きな損失のような気がします。

◆習い事のやめどきを決めておく

–高学年になると塾に通い始め、習い事との両立が難しくなってくるケースもありますね。

 習い事についてのもう一つのアドバイスは、これは「習い事狂騒曲:正解のない時代の『習活』の心得」(ポプラ社)にも書いたのですが、「やめどきを決めておくこと」です。あらかじめ、「こうなったらやめようね」という節目をいくつか作っておくこと。ある節目まで、たとえば目標の級まで合格できたら、続けるかやめるか話し合う。

 いずれかの節目をクリアしてやめたら、たとえば中学受験でちょっとお休みするけど、終わったらまた再開しようか、と思えます。一方、惰性で続けてしまうと、限界までやってみたけど、どうにも首が回らないからという敗北感の中でやめるしかなくなってしまいます。その習い事は嫌な思い出になり、目の前のやるべきことにもネガティブな心境で向き合うことになります。もうちょっと続けたかったな、というくらいでやめるのが理想ですね。

◆中学受験の塾選びには親のポリシーが重要

–2月から中学受験のための塾に通い始める子が多いので、うちはどうしようかと焦る時期かもしれません。塾に入るかどうか、また塾選びに際して大事なことは何でしょうか。

 子どもが小さいうちは、まず親が自分のポリシーをしっかりもつことが大事です。塾に入る以前に、中学受験をなぜやるのか、やらないのかという、親が自分なりの価値観をしっかり確立しておかないと、周囲に翻弄されてしまうだけです。

 御三家にこだわらず、子どものペースで行けるところに進学しようと考えるなら中小規模の塾を選ぶという選択肢もあるわけで、なぜその塾を選んだのか、理由をはっきりさせておくこと。そうすれば、他の家庭がどんな塾を選ぼうとも「うちはうち」と切り分けられます。そこが曖昧で、右往左往したまま進んでしまうと、最後に一番不幸になるのは子どもですから。

◆「手を離して抱きしめる」という距離感

–子どもの成長とともに、子どもとの距離感をどう取って行くか、難しいところです。

 子どもとの関わり方ってシャワーの温度調整と一緒で、ちょうどいいかなと思ったら、やっぱり熱いぞと思うこともある。子どもは日々成長しているので、ピタッと温度調整できるわけではないんですよね。だから注意深く見てあげることは大事だけど、ずっと癒着したままではまずい。「手を離して抱きしめる」という距離感で、いちいち口には出さないまでも見守るという感じで。とまぁ僕も抽象的にはこうやって言えるんですけど、実際は見守れていないのに口ばっかり出しちゃうし、オロオロするし……現実はそれでいいのではないですかね。子育ての正解なんて誰も永遠にわからないですから。

 ただ、中学に入ると、子どもは部活や友達の方に目が向くようになり、徐々に親から離れて行くものです。そういう意味でも中学受験は、思春期の前に、一つの目標に向かって家族が一致団結して、時には本気でぶつかり合いながら濃密な時間を共有できる貴重な機会だと思います。

 入試当日、受験会場に一人で向かって行く我が子の背中を見て、あぁもう自分には何もできないと、あれほど自分の無力さを強く感じる瞬間はないはずです。中学受験を、我が子の成長に気づくことのできる「成長の節目」として捉え、そこから親子関係を適切な距離に定めて行ければいいのではないでしょうか。

◆失敗こそが学び

–人工知能(AI)の発達など、先行きの見えないこれからの時代。我が子にどんな能力を授ければいいのか、迷えるお父さん、お母さんたちにメッセージをお願いします。

 社会がこう変わりそうだからカリキュラムをこう変えようとか、こんな習い事をさせなくちゃとか、学校も親も右往左往しがちですが、僕は、その考え方そのものが違うと思っています。子どもが未来の世の中に適応するのではなくて、子どもが未来の世の中を「つくる」んだから。そもそも学校って社会の縮図ではなくて、未来の理想の社会の縮図でなければいけないと思うのです。

 だからこそ、子どもたちには、自分なりの価値観をもったうえで、自分の手で世の中の見取り図を描いて、どうやったらそこで自分が幸せに生きていけるかを考えられるように、「主体的に思考できる力」が必要でしょう。その人にしかない答えにたどり着くための思考力、それを鍛えておかなければならない。

 では、これを応援するために親ができることって、すごく綺麗事なんですけど、有り体に言えば「子どもを信じること」。親が思い込みで子どものやりたいことを邪魔しないことです。

 子どもを信じて任せれば、子どもはいっぱい失敗するだろうけど、その失敗こそが学びなのです。親が近くにいてフォローができるうちにたくさん失敗させればいい。親が近くにいるうちは失敗しないで、親が離れると失敗するというケースが多くなってきているのではないでしょうか。子どもの失敗は子育ての失敗ではありません。その失敗をきっかけに親子でじっくり話し合えばいい。子どもの頃にたくさん失敗することが、子どもの真の学びに繋がるのです。

–ありがとうございました。

 「子育てで成功した人って誰ですか?」おおたさんに唐突にそう聞かれて言葉に詰まった。「子どもが『幸せな人生だった』と思えて死ねるかどうかは親には知りようがない。自分が生きているうちに、子どもが世の中で高く評価されている姿を見たい、というのは親のエゴ。親のエゴを叶えてあげるという目的ならば近道はあるような気がするけど、本質はそこではないですね。」と、おおたさんは語る。

 おおたさんの視点は、いつも子どもの側にある。だからなのか、おおたさんの本を読み終わると、心の中に温かみや優しさがふわりと残る。「子どもが未来をつくる」ーー子どものことを思うとき、忘れないようにしたい。

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